町田康朗読&トークイベント in 原宿VACANT(2015年9月13日) (2/3)

最終更新日

えっ、これヤバくない?脳が溶ける奇病じゃない?

あっ、またまた失礼しました。こっちの話ですので、気にしないでください。

町田康登場!!こぶとり爺さんの笑撃!!

伊藤比呂美に続いて、いよいよ町田康の登場です。
伊藤比呂美は立ったままの朗読だったのですが、町田康には、机と椅子が用意されました。
そこに座り、マイクの角度を調整し、眼鏡を外し、本を開いて「字が全然見えん」と一言呟いてから、自ら訳した宇治拾遺物語の朗読が始まりました。

「奇怪な鬼に瘤を除去される」
前置きのトーク的なものは無く、唐突にタイトルが読み上げられます。
このタイトルの言い回し、言葉選びに既に町田康色が濃厚に現れていると、僕は思います。この「除去される」っていうのがたまりません。
ちなみに、原題は「鬼に瘤取らるる事」です。
そうです、かの有名な「こぶとり爺さん」の元ネタです。
朗読は淡々と続き、最初のポイントが訪れます。
お爺さんが、山で薪を採っているシーンですが、町田康にかかると、こんな感じになります。

「いい感じで薪を採って、さあ、そろそろ帰ろうかな。でも、あと、六本くらい採ろうかな、なとど思ううちに雨が降ってきた。」

会場がざわざわっとし、笑いが起きました。もちろん僕も堪らず笑ってしまいました。
「六本くらい」が僕のツボを刺激します。
町田康は涼しい顔をして読み続けます。
そして、ひどい雨で帰れなくなり、仕方なく山で一夜を明かす事にしたお爺さんに、鬼のグループが近づいて来て、それとは知らずにお爺さんがホッとするシーンです。

「やったー、人だ。捜索隊が派遣されたのだ。」

会場は爆笑です。

この後も、次々に町田節が飛び出し、その度にどっかんどっかんと笑いが起きます。
鬼の描写では「どすピンクの奴も全身ゴールドというど派手な奴もいた。」「リーダー、って感じの鬼が」「あり得ないルックスの鬼が」とか、鬼たちが踊るシーンでは、「そろそろ、踊りとか見たいかも」「ポップでフリーな即興の歌詞を歌いながら」ですよ。これが笑わずにいられますか?
笑った箇所を引用していたらきりがなく、全文書き写してしまいかねないほどなので、このくらいにしておきますが、これを、関西訛りのアクセントで淡々とクスリともせずに読み進めるんです。
(ちなみに、この後のトークでは、観客につられて笑わないようにこらえながら読んだと白状してました。以前、自分の朗読で笑ってしまうという失敗をした事があるそうです。)

先に朗読を終えた伊藤比呂美も、池澤夏樹も大いに笑っていました。
これぞ町田康って感じの超絶訳で会場を沸かせまくった後、短めの「絵仏師の良秀は自分の家が焼けるのを見て爆笑した」という話を読んで朗読を終えました。

それにしても、こぶとり爺さんでこんなに笑えるとは、さすが町田康です。
そして、これを市原悦子が朗読する事を夢想しました。

この後は、池澤夏樹の朗読と、3人によるトークですが、続きは次回。

odorukame

町田康と内田万里とモーモールルギャバンが好きです。 InstagramとTwitterをやっています。 odorumachizoです。

シェアする