グルメという言葉の使われ方がひどい
グルメを召し上がりやがれ!
グルメ【フランス gourmet】食通。美食家。
大辞林には、あっさりとこう書かれている。
じゃあ、食通というのは何かというと、おいしいものについて詳しいこと、またはその人、であり、美食家とは、おいしいものばかりを食べたがる人のことである。
テレビなどでは、しばしば「グルメ大好き」といった言葉が平気で使われるが、大辞林にも書いてあるように、グルメとは、神戸牛のステーキやら、大間のマグロやら、聖護院かぶらやら、魚肉ソーセージやら、カントリーマアムなどのおいしいものをやたらと食いたがる、語りたがる人のこと、であるので、「グルメ大好き」は、美食家と称する人のことが大好きである、ファンである、ということになる。
そして、「美味しいグルメ」や「グルメを食べる」に至っては、ああ、恐怖のカニバリズムの世界。
テレビから垂れ流れて来るこういう言葉を耳にし、目にする度に、番組制作の人たちは「グルメを食べる」というフレーズになんの違和感も感じず、何段階ものチェックをパスさせてしまっているのかと、絶望的になる。
そして、前頭三枚目くらいの力士が「CAN YOU CELEBRATE?」を入場曲にして土俵に上がるのを目撃した漁師のような口調でこう言ってしまう。
美味しいグルメって、正気ですか?
(おわり)
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